【商品番号】9126 【商品名】恐龍娘 【製作者】しきはるみ 【メーカー】東京漫画出版社 【サイズ】A5 【ページ数】132P 【状態】並 【状態詳細】貸本糸綴じ、ビニールカバー貼付イタミ、小口書店印、本文しみ破れ・水ぬれ跡 【最低落札価格】10,000円
【コメント】妖異少女スリラー2 怪奇・スリラー物の他、それ以前、若しくは平行して同じく東邦漫画や東京漫画出版の系列で下町を舞台とした悲しい母娘物や明朗少女路線を多く手がけている。絵柄的にはちばてつや、福島史郎、牧村和美といった当時の王道の系譜に属しつつ、他の色々な流行・要素を取り入れ、独自のスタイルを構築。たとえ怪奇物でも、人が沢山死んだりする様なショッキングな内容のものは少なく、どこか人情の風味が漂う作品が多いのが特徴。意図してかせざるか、人情怪奇物という独特の世界がそこにある。 今ひとつ詳しい情報の残らない筆者であるが、貸本漫画界に確かな足跡を刻んだ名バイプレーヤーとして、注目され る所ではなかろうか。 しきはるみ作品数あれど、内どれか一つをと相成れば。その抜群の「表紙力」によりこちらを推される方が多いのではないだろうか。その名も「妖異少女スリラー 恐竜娘」である。一般的な知名度においては知る人ぞ知る、といった作品であろうがこの表紙図版は一度知ったものの脳裏に焼付き、心を捕らえて放さない。少女の頭に堂々たる竜の体躯。なんとも言えない表情も相まって、正に妖異としか言いようが無い。 華美な着色を施さず、あえて全体を抑え目の色調でまとめた構成も逆に目を引く効果となっている様な気がする。表紙のインパクトも然ることながら内容も若干勢い任せなところもあるが白眉。板壁の風情溢れる下町を舞台にして、幸せな生活を送る一家に突如降りかかった不幸。冷たい世間の風に涙を飲む可憐な少女。はたしてその運命や如何に。と、絵柄も相まって少女物の王道ど真ん中を行く冒頭から始まり、そして描かれる、復讐の獣と化し(つつも以前の人格・思考を保つ)た少女の刑務所襲撃・囚人の解放、自衛隊・米軍との決戦等々の怒涛の進撃。先を読ませぬ展開が読者の目を釘付けにする事請け合いである。終盤、追い詰められた恐竜娘が母の元に帰るために懐かしき町に向かうシーンで描かれる。町影を前に照空灯に照らし出される恐竜娘とそれを見上げる母親の構図がどこか東宝特撮的であったり、全編にSF、特撮・怪獣物の風味や要素がそこはかとなくが散りばめられている事も特徴的?貸本漫画、怪奇・スリラー物としてはもちろんの事、怪獣物としてもオススメできる一冊だろう。お見逃し無く。
8月2日(日)落札商品
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