【商品番号】1112 【商品名】かっぱ天国全3巻 【製作者】清水崑 【メーカー】東峰書房 【サイズ】A5横判上製 【状態】並 【状態詳細】カバー小イタミ、3集-シミ 【最低落札価格】15,000円
【コメント】 1集-昭和30年4月8日初版発行、116ページ、並 2集-昭和30年7月15日初版発行、114ページ、並 3集-昭和31年7月15日初版発行、110ページ、並
●かっぱ天国
「かっぱ天国」は週刊朝日で1948(S28)年1月から連載が始まり、5年間で全257回掲載されました
●かっぱ天国 第1集 東峰書房版1955(S30)年4月5日初版
この第一巻の冒頭に「序」を寄稿しているのは、文豪の川端康成です。彼もおそらく清水崑の漫画を文人画(南画)と認識していたのでしょう。私蔵するを出して、話を濁しています。戦前から挿絵や風刺画で活躍していた清水崑は、その軽妙洒脱な作品ゆえ文壇でも持て囃され、この後1968年に川端康成は日本初のノーベル文学賞を受賞しています
○夜釣りをする河童ですが、寒いので途中で薪を調達しています。三日月が夜が更けていくと共に地平に沈んでいきます。やがて夜明け前には水面も凍りつき、結局釣果なく氷の断片を引きずって帰る羽目になっています。夜の闇と河童のシルエットが一夜の愚かさを象徴していますが、朝日が昇ると共にそれを滑稽な風景に変えています
○野っや川端にある屋台ですが、作者は単なる小道具としてしか使用していません。しかしこのモチーフは本来もっと多くの物語を産んでいた筈です。週刊誌連載という事で、「かっぱ天国」から女かっぱの妖艶さのようなものが注目され、作者もその気になってしまっています。それはそれでいいのですが、清水崑というアーティストは本来もっと日本土着の情感を表現できたように思います。こうした野っ原にポツンとある屋台は、人のささやかな欲望ともりの象徴ですが、それが自然の中にあることでシュールな趣を演出しています
○舞台は野っ原と川と「口入や」の屋台だけですが、実にバランスの取れたコマ絵になっています。薄墨のベタ使いといい自在な筆使いといい、まさに崑さんの独壇場でしょうか
z93河童
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